INTERVIEW | 2023.02.03
第4回
見えない世界を鮮やかに描き出す画家
【 藤田理麻 】
会期中には、藤田氏のトークショー、ディナーイベントも開催されました。
夢に見た情景を鮮やかに描く独自の創作スタイルや、オラクルカード「ロータス・ムーン」制作のきっかけ、社会貢献活動などについて伺いました。
1.作品の世界観・創作のスタイルについて
── 独創的な世界を描くスタイルは、どのように生まれたのですか?
幼少の頃にさかのぼりますが、他の人には見えない世界が私には見えているという感覚がありました。
でも、その感覚は自分の内に秘めたまま時を重ねました。
そして、高校生の頃に「スピリット」という言葉を初めて友人から教えてもらいました。
「僕たちは、目に見えないけれど沢山のスピリットに囲まれているんだよ。」と。
当時は「スピリット」とはどのような意味なのか分からず、初めて聞いた言葉のインパクトだけを覚えています。
その後、美術を学び始めた頃に、目に見えない大事な世界があることを教えてくれる友人が現れ、改めて「スピリット」について深く考える機会が多くなりました。
私にとってスピリチュアルな世界の最初の扉が開いた時期でしたね。
── 夢に見た情景が創作のベースになっているそうですね。
夢は私にとって創造の泉です。
まだ自分では描いていないけれど、夢の中で完成した作品が目の前に見えているのです。
そのビジュアルを元に描いていますが、絵を描いている時はあまり記憶がなく、時間が止まって何かが私の中を通って描いているような感覚になります。
── いつ頃からそのスタイルが確立されたのでしょうか?
日常的に絵を描く生活の中、ある日夢で「チベットの為に出来ることをしなさい。」というメッセージが降りてきました。
1990年代のことです。
今まで封印されていた幼少の頃の不思議な体験があふれ出るように思い出され、私にしか見えない世界を表現していこう、そして、夢で受け取るメッセージを通して、誰かの役に立つような絵を描こう、という気持ちが固まっていきました。
それからは、夢に現れたヴィジョンを絵にしています。
── チベットのお話が出てきましたが、活動内容をお聞かせいただけますか?
画家としてのミッションが見えてからは、2001年に、世界の恵まれない国々の子供たちに、絵本を創り寄贈する組織「ブックス・フォー・チルドレン」(BFC)を設立しました。
そして、チベット難民孤児達への教育支援活動として、消えつつあるチベット文化やチベット語を守るための絵本や文房具、生活必需品などを寄贈しています。
2.オラクルカード「ロータス・ムーン」について
── オラクルカード「ロータス・ムーン」はどのようなきっかけで作られたのですか?
私自身が私生活でつらく苦しい体験をした時、同時に世界中にいらっしゃるであろう心の痛みを抱えた方たちの事にも思いを馳せました。
ちょっとしたきっかけで心持ちが好転するツールが作れないだろうか、と思い立ち、「ロータス・ムーン」を作りました。
27枚のカードには、ポジティブで何かのきっかけになるようなメッセージと、それに合う絵を直感でマッチングしました。
── タイトルを「ロータス・ムーン」とされた経緯や思いを聞かせて下さい。
表紙絵「ロータス・ムーン」も、夢の中でヴィジョンが見えた時、これは表紙に!と直感的に感じ描きました。
「ロータス」(蓮の花)は、泥の中で時間をかけて育ちます。最後には美しい花を咲かせる素晴らしいパワーを感じさせ、純粋さのシンボルでもあるので、このオラクルカードにぴったりだと思いました。
── 印刷には太陽光発電を利用されたのですね。
イタリアの小さな印刷所との素晴らしい出会いがきっかけです。
太陽光発電で作ったサステナブルなリサイクルペーパーを使用しています。
自分の信念を大切にし、ぶれずに貫き行動していると、今回のように必要な出会いがあり、おのずと道が開ける、ということを学んだ場でもありました。
── 「ロータス・ムーン」を使う際のアドバイスがあれば教えて下さい。
特に決まった方法はありませんが、オラクルカードは、自己との対話がベースと考えていますので、ご自分のために引いていただきたいです。
そして、カードを読む時に「お花が気になった」など絵柄から何かピンとくるものを感じたら、その直感を大切にしてもらいたいです。
直観を磨くことで自分自身とのより深いコミュニケーションに役立つと思います。
東京タロット美術館開館一周年記念特別企画
藤田理麻オラクルカード原画展
2022.11.16 Wed ~11.31 Wed
<東京タロット美術館開館一周年記念特別企画>
「藤田理麻トークイベント&ディナー」
2022.11.18 Fri
詳細はEVENT / EXHIBITIONページをご覧ください
PROFILE
- 藤田理麻
色鮮やかな色彩とファッショナブルでスピリチュアルな独自の世界観から、
世界中の多くの著名人を含むコレクターを魅了する。
また、社会貢献活動としてチベット難民孤児たちへ消えつつあるチベット文化等の
絵本を制作して寄付するなど、ダライ・ラマ法王とも交流を深めている。